詩人:高級スプーン似
地球と空を隔てる
仕切りがないから
囗に囲われた中身について
考えたこともなかった
やり様によっては
いつでも突破できる大気圏
住み慣れた天体を捨てて
外界へ飛び出したとして
箱舟の中を
包む静寂
乗組員たちは
借りてきた猫のよう
だから
おとなしく
左胸に籠って
本音を呟かないようにしている
内側から殴れば
衝撃が心を動かす
送り出された血液は
全身を巡り
元の場所に還ってくる
誰かの生活といっしょ
未だに
壁のない部屋の中を
ぐるぐるぐるぐる
歩き回っている
遮るものなどありはしないのに
外はまだ暗いから
怖いんだ