詩人:猫の影
深い深い森だった
どこかで何かが
流れていた
青い静寂が垂れ込めた
黒い風が頬を撫でた
彼は言った
あなたはあなたのものではない
美しい少年だった
長い長い時間だった
どこかで誰かが
泣いていた
群青の偽善を浄化した
聡い眉が疑義を呈した
彼は言った
あなたには死すら許されない
儚げな微笑みだった
日の光がたちこめて
粒子にまで昇華しそう
東にいたあの少年は
今はもうない
彼は言った
あなたはあなたのものでない
彼は言っただろう
あなたには死すら許されない
2010/07/16 (Fri)