詩人:剛田奇作
ここの海岸で地平線が見えないのは濃い霧が いつも出ていて灰色と波の音があるだけだから砂に足が飲まれ靴に砂が入る強い風の隙間に香るかすかな、何かの腐った匂い 古い土のような匂いこれが私の小さい頃を思い出す唯一の手掛かりそこにいけば昔の私と話ができる小さな私の指は恥ずかしそうにいつもくねくねと動くただ今を生きていた頃の純粋な私 戻れない私 今日はお別れ、言いにきた時間が経ちすぎて悪かったね