詩人:猫の影
哀しい恋はいつも滑稽で
イエスが座禅を組んでいる
振り返るその刹那
香る髪の粒子
鼻の奥が少し痛いのは
多分気のせいなのだ
マグダラのあの女
そんな風に言いたくなる
絡め取られた少年に
その糸は見えることもない
哀しい恋はいつも早計で
妻子を捨てた男の後悔のよう
耽美的な微笑み
目にしみるその造形
目から何か流れているのは
多分何かの勘違い
宮殿のヤショダラとでも
そんな風に言いたくなる
絡め取られた少年に
その意図はわからずじまい
振り返るその刹那
香る髪の粒子
鼻の奥が少し痛いのは
多分気のせいなのだ