詩人:どるとる
たとえば 悲しみは環状線をゆく 電車にも 搭載されているたとえば 喜びはスズカケの木の根元に光る昨日降った雨の小さなひと粒に重なるさよならを言うのならはじまりを置いていけいつかまたここで出会えるその日のためにただいまを言うのならおかえりをくださいな果てしない物語のあらすじをまだ知らない環状線をゆくいつものあの席に座って 眠り込むあの人の胸の中にその睫の上に明日は舞い降りるそっと静かに。