詩人:猫の影
忘れてしまいそう
あの日の夕焼けも
あなたの絵も
湿気たクッキーが
袋の中で粉々になっていた
何が楽しかったのか
何が哀しかったのか
思うようには描けなくて
日が滲む
かすれてしまうそう
綺麗な思い出も
恋人との時間も
錆びたジッパーが
記憶の隅で引っかかっていた
何を求めていたのか
何になりたかったのか
思うようには描けなくて
日は沈む
古びた雑誌が
口を噤んで佇んでいる
胸が濡れた
何が足りなかったのか
何か余計だったのか
何を求めていたのか
何になりたかったのか
思うようには描けない
描けなかった
2010/09/13 (Mon)