詩人:猫の影
住み慣れた町の空は
妙に優しくて
流れたものを
冷たく光る月には
見えないようにしたんだ
引き裂いた大切なものは
きっと元には戻らないだろう
そう思うことにした
何も見たくなかったのだ
だから空を眺めた
消え入りそうな星を
なぜだか掴もうとした
届かないことなんて知ってた
叩きつけた大切なものを
その欠片を拾い集めた
それしかできなかった
吐き出した煙は
夜の空に溶けたろう
大切なものの欠片を
手に抱えて歩き出したんだ
そうしようと決めたから
そう思ったんだ
2010/11/25 (Thu)