詩人:猫の影
肩をすくめ 自転車を漕いだ
いろいろなものが 肌を突いた
なくしてしまったものは
見つからないまま
手に入れたはずのものも
見当たらないんだ
人は年を経ると大人になるという
うまくいかないこともあるもんだと
俯いて笑った
しまっていたセーターを出す
余計なものまで零れ落ちた
忘れていたはずのことを
思い出してしまって
覚えていたはずが
引き出せなくなった
人は年を経ると忘れるという
うまくいかないこともあるもんだと
空を見て笑った
人は年を経ると笑えるという
うまいことをいうもんだと
君を見て笑った