詩人:どるとる
裏路地 夕景 ひとり風に包まれていた誰かの影が見えるよ手を振る影が だんだん遠ざかる今日の痛みを 残したままで消えてゆく 今日という一日寂しいのは嘘じゃないからどうかずっと側にいて押し寄せるのは さよならのさざ波引いていくその時 命のかけらをさらってくちっぽけな貝殻のような白い思い出あとにはただ 何事もなかったように静かな砂浜のような 夜がそこに広がっているだけやがて屋根を飛び越えて訪れる夜明け。