詩人:甘味亭 真朱麻呂
夜な夜なさまよう
夢遊病者のように
夢はもう飽きた
手に取れないものなんて欲する意味はない
眠れない夜は
こうやって月を気長に眺めてる
庭の畑で蟋蟀の鳴き声を聴く
そうするうちに夜は過ぎ
気づけば朝になる
縁側の柱に寄りかかって
目覚めた私は昨日のことを夢だと疑わなかった
なぜなら夢は一瞬の幻惑なので
知らない間に私を夢の世界へと連れ去ったに違いないと思った
飽きたはずの夢の中で私は現実離れした幻を見た気がした
遠のいていく幾多の思い出に見取れて
いつの間にか現実か夢かも判断できないほど
私の病気は進行していたらしい
今更それに気づいて
ちと考えた後
また僕は夢の中
現実か夢ともつかない世界をさまよう。