詩人:満月
いくつもの時間が過ぎて
思い出と呼べるようになった
色褪せた記憶の中には細い肩を震わせていた貴女がいた
いくつもの時間が過ぎて
思い出と呼べるようになった
色褪せた手紙の中には忘れかけた大切なメッセージがあった
いま貴女が望む姿に近づいているだろうか
少しくらい振り返る事は許してくれるだろうか
いまだけは貴女のことを思っていてもいいかな
あの時の涙にはどんな意味があったのかさえ
未だに分からないまま
温度だけが深く残っている
いくつもの記憶が時間というものに流され消えて逝く
なんでもない小さな幸せの記憶すら