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詩人:ハト
とうとうこの日が来てしまった
(必死で目指してきた、できれば来て欲しくなかった今日が、もう、ここに)
半ば絶望的な気分で
体を布団から起こす
(頭の中には音楽が、あのフレーズがエンドレスリピートしている。なんて苛々するの)
ふと空を見に行こうと思った
今日あるものを
今あるものを
見に行こうと思った
(初夏の朝は、いつも懐かしいにおいがする。モラトリアムの気だるいにおいが)
玄関を開け放ち
見上げた空は薄明るく
風がさらさらと心地好かった
(ああ、悼んでくれるのね、これからあたしが失なうものを。あたしが、失なうものを。)
きっと空をみる度に思い出す
今、この朝のことを
今日起こる事を
その時私は
何をしているだろう
きっと、きっと
今のあたしよりは
マシな人間だろう
どうか、どうか、
そうでありますように
(ああ、また陽が昇る。あの日と全く同じ朝日が、変わらず昇ってゆく。あの日の私よ、諦めなさい。私はあなたの事など忘れてしまう。きっと、きっと。)