詩人:蛍
走り去ってゆく後ろ姿
「追いかけてきて」と言ってくれても
この足が許してくれない。
瞼を閉じて、ゆっくり耳を澄ます
聞こえてくるのは絶望という悲しき泣き声。
その涙を拭ってやれるのは
その震えた肩を抱いてやれるのは…。
君が崩れ落ちる前に
君が粉々になってしまうまえに
けれど僕の腕はどんどん腐ってゆく。
君にとって必要なのは僕の腕じゃない。
君にとって必要なのは僕という存在じゃない。
逃げ去ってゆく後ろ姿
「助けて」と言ってくれても
この手が許してくれない。
2005/06/24 (Fri)