詩人:花房優希
雨が降った。花が散った。愛が終った。愛していたと、過去形にして叫んだのは、遠い昔。今でも時々振り返る。色とりどりの傘をすり抜けて、君の面影探すよ。どしゃぶりの視界は蜃気楼のようで。遠い君がそこに居た。伸ばしても届かない手は、何も捉えずに。ただ、君が笑っていたので笑ってみた。歪な笑顔は想いの証。いまでも君を愛している。役立たずな口は、ひとこと想いを吐き出すよ。「さようなら」虹も出ない、泣きたい六月の午後。