詩人:惑い人
しゃり かしゃりしゃり かしゃり回すたびに 二度とない世界を見せてくれる万華鏡が少年は大好きある日 中を見たくなり金槌で何回も叩き 壊したそこにあったのは三枚の鏡板薄っぺらな色つきセロハン屑物のビーズたち失望した少年は 血を流した手でそれらを掴み地面に投げ捨てた夕日に照らされたものたちを 少年は見つめた“このほうがずっときれいだ”家路につく少年を血に染まり なお夕日を吸い取る屑ビーズが見つめていた