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[187599] 偶然の輪廓

詩人:たかし ふゆ

触れた手の感触を覚えているのに
顔を思い出せない
安直な会話だったはずなのに
メールの中身を思い出せない
何故だろう

自作したカクテルの味がイマイチで
メロウソーダと
適当に名前をつけておいた
水槽の中のディスカス
適当な世界に生まれてきた
適当という名の奇跡
あるいは、偶然とも

忘れるのではなく
追体験して折り合いをつけなさいと、誰かが言った
輪廓はとても大事なものなのに
輪廓のままでしか、思い出すことが出来ない
それを
誰かはきっと美しいと言う

無責任な誰かの無責任な言葉が、心を抉る
それはきっと偶然なのだ
この世の大概のものは
ただの偶然の塊なのだ

息をして
吸って、吐いて
偶然、僕らは生きている
まごうことは無い
道の中で出会い、別れたあなた
道の中でこれから出会う、だれか
偶然さ
ただ、人によって価値は違うのだとしても

2015/02/19 (Thu)
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