詩人:善田 真琴
ひねもす夜すがら垂れ込めて隠棲し居りにければ、雪降るをも、はや溶けにけるをも知らざるうちに浮世は流れ過ぎ行くなり。世事離れにければ憂き事も心乱さるる事もなく、暖かき陽射し簾の隙間より洩れ来るを見れば自ずから心穏やかに鎮み凪たる湖面の如し。この雪を如何にと言問ふひともなしひいよひいよとヒヨドリの啼く