詩人:謳器
目を閉じると思い出す
子供時代の何気ない日々
雨の日の湿った匂い
夏でも冷たい台所の床
温かいストーブと曇った窓
夕飯の支度をする音と湯気
階下から聞こえる笑い声
いつまでもこのままだと思ってたそんな毎日
みんなここでずっと一緒だと思ってた当然の毎日
ありふれた風景
ただそこにいた家族
旅立ちのような静かな別れ
もう戻る事ないあの日々は
記憶の中で暖かく優しく切ない
もう一度作れるだろうか
こんな風景を
こんな家族を
こんな別れを
生活とは
二度と戻らない毎日を生きるという事
かけがえのない日々を知るという事