詩人:緋雨
午後六時
いかにも部活してきましたって感じの学生達が改札を抜けていく
携帯でメールしてるフリしながら
そっとそっと視線を巡らせて
探してるのは、来るかどうかすらわからない人
電車がホームにすべり込む度に
沢山の人が群れを成してわたしの前をすり抜けていく
一時間経って
結局探してる人は見つからなくて
そろそろキヨスクのおばさんの視線が痛いし帰ろうかな
ずっとずっと前の
初恋の彼はどうしてるのかなって気になって
わざわざ貴方の最寄り駅まで来たんだよ?
偶然を装って会えたらいいなって
ほんの少し期待してたんだ
貴方は見つけられなかったけど
だけどいまでも時々この駅に来ちゃうんだ
貴方の家も知らない
電話番号も知らない
行ってる高校すら知らない
知ってるのは最寄り駅だけ
だからあきらめたハズなのに来てしまう
貴方に会ったらなんて話しかけようとか
結局言えずじまいだった事をどう言おうかとか
淡い希望たぐり寄せてる
しつこいかもだけど・・そのくらい、貴方が好き