詩人:老女と口紅。
華
やげば お前はいない
それは
足元に 絡み付き 失墜の時 現われる うつむき なえ へたれば 沸き上がり どこまでも どこまでも ついてくる 病む精神に 肉体に 付き纏う 剥がれない 剥がせない 我を 見据え ついてくる どこまでも どこまでも ついてくる‥ 長い トンネルを 抜け 逃げ帰り 裸 電球に 照らされて 壁に 貼り付く 黒い 影 苦しいと 嘆き もがく 黒い 影 救いの 手 そっと 差し 延ばせば ニヤケてやがる 黒い 影 細い 柱より 垂れる ロープ 見て 怯える 黒い 影 サヨナラと 影から 闇へ お別れさ‥ 肉体さえ なければ 離れられる 逃れられる‥ 我の 重みに 遠ざかる 意識の中 ニヤケるのは 俺 動けないのは 影 それを照らすのは 裸 電球