詩人:老女と口紅。
どしゃ降りの
闇夜に紛れ逃げ惑う
気が付けば森の中
枯れぬ涙と森の中
その場所は
自由なようで
圧縮された空間
空気に流れは感じない‥
静かなる雨上がり
静寂だけが時を打つ
疲れ果てしゃがみ込み
うつむけばその姿
朽ちゆける老木のよう‥
深き森
月明かり抱けば葉の一雫
プリズムの如く虹色を放つ
シズク‥
無情がゆえにその光 悲しく
無情がゆえにその姿 愛しく
人知れず輝けるなら
地に落ちるまで見ててあげる
この雫のように
その悲しみを
虹色に変えて
解き放てるのなら
それは
きっと 幸せ‥
命
尽き果てるまで
消えゆけるまで
精一杯に生きよと森は言う
そして森は
ゆっくりと割れ
背負いし重圧を
優しく解き放なつ
なれば
日差し眩しくも降り注ぎ
癒されてゆく君の目に
見上げれば青い 空
流れるは 雲
風 吹き抜けて‥ 心
涙 拭い去り
瞳 明日を見据え
両腕は天空をかざし
両足は大地を蹴り上げる
そして君はまた
希望を抱いて
歩み続けるんだ‥