詩人:甘味亭 真朱麻呂
昼過ぎから降り出した季節はずれの雨
アスファルトをかるく削っちまうほどの強い風
胸の奥に押し込めていた思いが溢れだしてしまいそうなくらい涙
そう気づけばそれはすべて
蒸し暑い夏の幻だったのか
ひどいのどの渇きと生ぬるい風
息を荒くして目覚めた夜は
汗のによいと虫の鳴き声だけがはらむだけの真夏の深夜
忘れ去られた記憶を手繰り寄せれば
何かつかめるかなって
思っていたけど
現実はそんなに甘くはなかった
ただ切なさとはかなさを引き連れて
季節をまた一つ巡らせていくだけ
あの日の夜など
思い返してみたところでまぼろし
真夏の熱帯夜と寝苦しい夏がまた巡り来るだけ。