詩人:Bob
手に握った一本のカーネーション
貴女の前に差し出す
花の香りは線香の匂いに掻き消され
モノトーンの世界にポツリと咲く紅色
家に帰って炊事場に目がいく
もぉ包丁の音は聞こえてこない
一昨年あげた百均の造花のカーネーション
去年あげたコンビニの造花のカーネーション
いまだそこに飾ってあった
今年こそは…
それなのに貴女はもぉいない
どぉして貴女が生きているうちに花の一本もあげなかったんだろう?
約束だ
年ごとにカーネーションの花の数一本ずつ増やして
毎年この日はここにくるよ
灰色に紅色を添えにくるよ