ホーム > 詩人の部屋 > 千波 一也の部屋 > 水の廃墟 > 投票

千波 一也の部屋  〜 「水の廃墟」への投 票 〜

  • 千波 一也さんの「水の廃墟」に投票します。
  • 不正防止のため投票は「詩人の部屋」の登録者のみに制限させて頂いています。
  • ユーザーIDとパスワードを入力して「投票する」をクリックしてください。

[85357] 水の廃墟

詩人:千波 一也


みなもとの名を水だけは忘れない


  
やさしすぎるのかも知れないけれど
  
そうでなくては 
  
なにも生まれてゆけなくて
  
それを知っているから
  
水は

  

弾丸という異物を迎えることで
  
鳥は空から落下してしまうように
  
速度こそ異なれど
  
確実に
  
水は



  
とても自然な流れのなかで地図から消えた場所がある

  
或いは
  
みずから隠れたのだろうか

    

群れをなすものたちに
    
たどり着くための手足は既に無く
    
夢をおぼえたものたちに
    
みとめうるための瞳は既に無く

    
水たちの本能だけに護られて
    
みなもとの名は
    
もっともうつくしい廃墟のなかに溢れている



  
没してゆくさなかには
  
なにものの介入も許されない

  
終わりゆくならば純粋に
  
始まってゆくならば
  
還る先を見まごうことの無きように


  
もっともうつくしい廃墟のなかで
  
みなもとの名を水だけが忘れない


2006/09/09 (Sat)
ユーザーID パスワード
一言コメント  


- 詩人の部屋 -