詩人:ユズル
重い足を引きずって
泥にまみれたぐちゃぐちゃを
崩れないように支えて
星の消えない場所に来たら
遠い汽笛を聞いた
畦道を駆けていった
動物の雲を眺めた
軋んだ夢を見た
青々とした樹々を掻き分けて
水溜まりを荒らしながら
ひび割れながらも飛んで
星の消えない場所に来たら
甘い飴の味を知った
還りゆく光に包まれた
蜜を求める虫と出会った
涙目でも夢を見た
ああ、
カチャリとなる
皿とナイフがぶつかる響きが
胸に染み込む度に
温かな湯気のなか
じわりとまとわりつく水滴に
くすぐったくなる度に
ああ、
夢を見た
壊れかけの夢を見た