詩人:山鳩
君のいちばん嫌いな
ため息をひとつ
ふっとこぼした時
少し時が戻ったような気がした
三度目のサクラ舞い散る季節
アロマの明かりに
君の横顔が照らされて
卒業写真に映った微笑よりも
どこか大人びて見えた
沈黙する時間が長くなったのは
すっかり君のことを理解できてるから
些細な仕草から
次のコトバを予想できるから
口にはしない一抹の不安に
僕は気付き始める
やっと見慣れたスーツ姿で
君は濡れた舗道をかけて行く
朝もやの中で
人ごみに消えてゆく君の後ろ姿
僕の進もうとしている道と
君が見つめてるものとが
きっと交差する
そんな物憂げな目をして
この手で触れる日に憧れる