詩人:どるとる
終電に乗る夜 真夜中をとうに過ぎて誰かが忘れたビニール傘が寂しそうに今にも消えそうな明かりに照らされている電車が見えなくなるまで見送るのが僕の小さな楽しみになっていた改札を出ると そこは 海の底みたいに暗い座席に 沈んで 電車に揺られて見た夢はどんな夢だろうさっきまでのこともまるで遠い昔のような時間の魔法で 僕は 目覚めて もう少しあの角の向こうに優しい家の明かりお疲れ 電車が 今日も通りますガタゴト ガタゴト。