詩人:ヒギシ
夏休み
する事が一つも無かった僕は
蝉の轟音の中で消え入りそうになっていた
一刻一刻
今日も過ぎ去る
駄目だ
このままじゃ
時計が回転を速めるばかりだ
立ち上がらないといけないのに
僕という人生の下に横たわる
今という大時計
動かないそれの上を
僕が歩いて進めていく
僕が動かなきゃ
時計が自ら回りだしてしまう
こんなことしてちゃ
駄目なんだ
動き出した長針に乗って
酔いながらも降りられなかった
足掻いて足掻いて
なんとか降りようとした瞬間
ふらりと立ち上がった僕の足下から
針が消え去った
ちくしょう
長い夏休み
耳に棲み込んだ時計の音は
蝉の轟音を掻き消した