詩人:どるとる
水が滴り落ちる音に気づけるだろうか たったひとつの命が
死にたいと 心から願う愚かさを
僕らは どんなふうに否定できるだろう
広すぎるこの街には 季節なんてないようで
生ゴミの臭いと曲がった 人々の背中
譲りもしない 電車の席
膝を擦る お年寄りを無視したような若者
優先席を 埋めるのはいつでも 学生
何がおかしいのかただ笑い転げて
辛そうにつり革につかまるお年寄りが
あきらめて前の車両に移る
その背中は何かを言いたげだったけど
僕には何も出来なかったよ。
2015/12/05 (Sat)