詩人:☆
家の片隅に、大きなグランドピアノ。
小さい頃からそこにいた大きなピアノ。
ずっとそのピアノを弾くのが好きだった。
ピアノが奏でる旋律。
家の片隅に、あるのがあたりまえになっていた。
ある日、ピアノの音が鳴らなくなった。
とても好きだったあの音色は、
聞けなくなった。
でもある時、音が鳴った。
僕はうれしくてうれしくて、大事に大事に
音を奏でた。
いつまでもそこにあると思った。
でも、僕が学校から帰ったら
いつも家の片隅にある、大きなグランドピアノが
無くなっていた。
僕は泣きそうになったのを堪えた。
しかたがない。口々に大人は言う。
無くなったのはしかたがなかったんだよ、と。
大好きだったあの音色、
今ではもう聞けなくなってしまった。
家の片隅に、大きなグランドピアノ。
小さい頃からそこにいた大きなピアノ。
♪ ♪ ♪
♪ ♪ ♪ ♪ ♪
♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪