詩人:千波 一也
鳥居に
菊花を吊るしたら
砕ける桟橋
傾ぐ舟
手鏡ぬぐえば
小太刀まばゆく
たちこめる宵
群がる灯篭
座頭の爪弾く
琵琶は
千年
雀の遊ぶ
鳴子は
こがね
雲居をながれる
琴の音ならば
せせらぐ川面に
満ちて
ひさしく
舞う鈴の音に
身を尽くし
澪標こそ待ち人のかげ
舞う鈴の音に
道標
扇をかえせば
いざないの波
日傘はほころぶ
けなげな芳香
編み笠ひとつ
小石にゆるせば
むらくもの笑み
やわらかな風
舞う鈴の音に
身を尽くし
舞う鈴の音に
語り部は
なる
2006/12/13 (Wed)