詩人:どるとる
吹き抜けのように 伽藍とした 廊下に
靴音が 鳴る セーラー服のスカーフが風になびく
忘れられたような 机の落書きと
転がった 折れたチョーク
机の 上の真っ白なノートと
窓がつくる 陰影
降りてくる陽射し
孤独さを隠して 走る校庭に
夕暮れの魔法で 誰も彼もが寂しくなる
オレンジ色の光の中で同じ色に染まる
下手くそな 日常描写の中に
ただ息をする 青春映画の主人公とヒロインは
名前もない少年と少女だった
シャッターが降りるその瞬間の刹那を
閉じ込めたような写実的世界。
2016/01/03 (Sun)