詩人:千波 一也
とじゆく風にひらかれてそれがあるいは逆だとしてもなおさら地図は紙切れとなる吐息はつまり消える熱硝子に映る秒針を遠ざけるものはいつでもそばにこまやかな星座のその呼び方を失う痛みはもう聞こえない感傷をわすれるための感傷はささいな温度でにわかにとける十一月はバラード惜しむ隙間もなくした雑踏できまぐれな鍵がひとり遊ぶ十一月はバラードなりゆきの人たちにも避けたかった人たちにもとべない翼が降り積もる