詩人:黒神仁
誰も成し遂げられないものを
成し遂げようと夢見たあの日。
その夢はどうやら私には少しばかり
大きかったらしく私は
その夢に見合った人間になろうと
ただひたすらに駆けていた。
そしてある日奴は語りかけた。
「君はどうした?どうして君の瞳はそんなに冷たい色なのだ?」
ああ。なるほど。私はどうやら最もなりたくなかった『大人』とやらになっているらしい。
ああ。なるほど。こうやって私は私を失い大人になるのか。
あんなに恐れていたのに。
あんなに嫌っていたのに。
そう言われた私は笑う事しか出来ない。
私はまた夢をこの手に抱きたい。