詩人:番犬
暮れ始めた西の方
ビルの隙間から見える空が
あまりに狭すぎるから
僕は目を細めているよ
赤く染まった指先に
うなだれ歩く僕の影
白い吐息がせわしない街並ににじむ
どのぐらいの距離で
君に会いに行けるだろう
どのぐらいの距離で
僕は君を見つけるだろう
答えなんか分からなくて
歩き疲れて座ったベンチ
隣には一つの空いた席
缶コーヒーを握りしめてた
こんなちっぽけな温もりじゃ
ごまかすなんてできやしない
君がいない空っぽの心を
抱きしめることもできず
答えを見つけようとしている
僕を愚かだと笑ってくれないか
君の記憶の中で
僕はいつも笑顔だったろう
君の記憶の中で
僕はいつもしあわせだったろう
ポケットの中で
記憶だけが温かい
君の温もり
それだけが忘れられずに