詩人:千波 一也
かりそめをながく着て
寝所のすみに
けがれを
灯して
目をつぶるから
ほこりがつもる
目だけを頼れば
いしにつまずく
なぞるだけでは
かどが立つ、
輪
わかつためには
わすれるためには
えがいて消して
久遠の、
輪
燃える陽も燃えた月も
ひとをつれては
燃やされて
ゆく
雨が
ひたすらに
顔を隠すわけは
かばうべき布のため
一枚のための一枚として
さくらの御名は
舞い降りて、
散る
土へとかえりゆく途が
ひとつの樹なら
枯葉のかげも
あたたかい
塗り込むすべは白のまま
うがつうつつに
渦巻くしるべ、
漆黒をさす