詩人:千波 一也
掲げられている、
無表情
ときおり
風につられて
わらいもするが
恥じらえもせず恥じらっている
そらへと挙げた小さな拳は
ささいなものほど
守りぬけるのに
もう、
ささいなものすら許さない
傷つかないためには
傷つけること
でもそれは
だれかにとって
やさしい語りになりうるだろうか
吹かれるだけの、
無表情
ときおり
風につられて
うたいもするが
聴かせあぐねて疲れ切っている
孤独とはぐれて
ただよって
歓迎とも
決別とも
取れるかたちで
ただ、風に
2007/01/10 (Wed)