詩人:もとり
まるで幼児の様に
覚束ない足取りで
目指す場所もないのに歩き始める
目の前に見えるは
崩れ落ちた景色だけ
一体何を信じて
一体何を頼りに
私は生きていけば良いのかと
縋るように
取り繕うように
宛もなくさ迷い続ける
ほら 御覧なさい
信じてる なんて
呟けばこの有り様だ
傍に居て なんて
囁けばこの惨状さ
貴方の居ないこの世界は
何処を見ても色褪せていて
息苦しさを覚えてしまう
もうとっくに貴方は
絶えてしまったというのに
記憶の中でしか
逢えないというのに
愛してる の言葉は
とっくに宙に溶けていった
さようなら は
未だ言えずに胸の中
SOSを出しながら
私はまだ 此処に居る
貴方の傍に行けたらと
密やかに祈りながら