詩人:美幸
いま、
ふたりの手のなかにあるもの。
それを大切にしよう。
やさしい気持ちや
消えない思い
あたたかな言葉や
そういったもの。
手のなかにないものの
数をかぞえ、あげるのはよそう。
いまあるものまでが
なくなってしまいそうだから。
手のなかにあるものを見つめて
大事にしてなくさないでいよう。
もしかするといつの間にか手のなかのものが
ふえているかもしれない。そのときは、ふたりで
いままでのように
あたらしいものも大切にすればいい。
いま、ふたりの手のなかには確かなものがある。
すぎていく時間のなかで
それをなくさないように。手ばなしてしまわないように。