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詩人:どるとる
薄化粧をしたような空を見上げながら
二人は言葉もなく 歩数を稼いでゆく
寂しさを埋めていくのはなんだろう
そこに吹く風にせめて形があれば
目には見えない あなたの傷の痛みに
気づくことが出来るのに
大事なものが何も見えない目には
輝くものしか映らない
大事なものを聞き逃してしまう耳は
きれいな声しか聞こえない
「大丈夫」や「愛してる」をかぞえて
不器用に 手間取りながらも続いてく
未来の二人も 変わらないように
描く幸せは ほどほどにしておこう
たとえば 傍らに寝そべる猫や
窓の向こうの空を 見習って
ありふれていようと笑ったら
明日も また今日と同じ僕になれる
父の形見のギターで歌うのは そんな歌。