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[192530] 水の器

詩人:どるとる


水面に 雨が降り積もる
季節が 景色を染めれば
名前のない気持ちになる
走り出す 始発電車

回り続ける 時計は昨日と同じ今日と明日を
真っ白な画用紙に描くだろう

わがままな誰かさんのぬくもりが
この手から離れようとしない

曖昧な運命なんてものでぼやかして
いつまでも 肝心なことは伝えないまま

雨を受け止めた 地面は器のように
手のひらを差し出したよ
涙を集めて 海を広げて
平泳ぎでもしようか

油断すれば太平洋まで 飛びそうな気持ちを
君が 引き留める

世界中のたくさんの言葉が輝いて
この世界を染める色になっている

そんなありふれた奇跡なんかは
誰も見向きもせずに通り過ぎるだけ

あざ笑うだけ。

2016/09/10 (Sat)
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