詩人:綾
魚になれたら
雨も泳いでいけた
愛を得たその魚は
いつまで生きるだろう
温められた朝の
丸い空気が浮遊する
たとえ泣いたとしても
忘れようとは思わない
二人になったふたりが
私と僕になろうとも
君の名を音にすれば
天井に消えてゆく
海の底で憧れていた
あの遠い揺らめく光
それを味わった者は
同じ場所には帰れない
この世の幸福は
体温と鼓動と重力で
なんとも愛おしい
そして儚いものだ
だからきっと
君はまた愛するだろう
心配なんて要らない
死ぬまで生きるから
2009/08/20 (Thu)