詩人:さみだれ
消費期限の切れた
幕の内弁当膝において
神様に慈悲深く祈り
鳥たちに分けながらたいらげた
それはもう千年前の
未熟な僕たちの御先祖で
今もまだ根付いてる
ご飯の上の赤い丸が
ただそれだけ残せたら十分だ
センソウもヘイワもいらないぜ
偉人も大層な歴史も
進んだ文明もいらないぜ
僕にはお母さんがいる
お父さんも妹もいるんだ
星の数ほどの幸せは
ひとつとしてほしくはない
バカでかい太陽ほどの
嬉しさがあればいい
塩素混じりの水を飲んで
ため息をつきながら歩き出す
前にはなにもないくせに
ないからどこにでも行けたんだ
それはもう千年前の
春先の午後で
今もまだ根付いてる
二本足の僕らがいる