詩人:千波 一也
終焉を
もてあそぶような三日月に
果実をおもう夜、
つめたさを傾いて
遠吠えがゆく
牙をおそれることの
その、狭義に背いてゆくなかで
切り立つ岩の寂しさに
みとれてしまう
刻一刻、
と
なだらかな平野には
触れられない視線の果ての
頂上が、
幾つも鋭く
嘆きのすべを失っている
拒絶を凪いだ難破船として
あまりに優しい集約は
草むらに、陰る
縛りつけられた内と外とに
見殺す爪をただ、
映えさせて
混ざりあうものたちの
聡明な双璧が、
純真と
息吹に砕かれ
蒼白になる
夢のはざまに濡れて匂いだす夜、
三日月たちが
燃えてゆく
瞳孔のなか、を
実直に