詩人:はるか
ときは動いてる
ちくちく たくたく
きざむ音が
消えたのは
おじいさんが
ネジを
巻かなくなってから
どうして?って
聞いたら
一生分もう
巻いたんだって
新しい時計は
お日さまみたいに
ピカピカだけど
おおきな
文字盤ばかりが
目について
僕はあまり
好きになれないと
思った
日にやけた
壁のあととか
おじいさんが
きっと
おにいさんだった頃の
なごり≠ニかいう
やつなんだ
ちくちく たくたく
ときは流れてる
おじいさんは
片手をさすりながら
もうたくさん
巻いたんだよって
笑って言った
動かない片手を
さすりながら
しきりに
僕に
笑って言った