詩人:大示
前を向いて真っ直ぐ立っていた一つの大きな花
フェンス越しに、こっそり見上げていた
早く君と同じ高さになりますように
雨に濡れて佇んでいる君は項垂れて寂しそうだった
手を伸ばし持っていた黄色い小さな傘を、どうぞ
季節の終わり
久しぶりに会いたくて
君がいるあの場所へ
憧れていた姿は無く
渡した傘に潰され・・・
頼りない小さな種達だけが遺されて
一握りの命
一粒の小さくて
なんて
なんて重い、大切な命
君の亡骸を埋めて
新しい命を埋めて
どうかまた、生まれて来てください
そしてまた、どうしようもないぐらいに憧れさせてください
誰もいなくなったフェンス越しに
夕日が沈んでいく
君も見ていたんだね
見つめ続けた憧れが消えゆき
そして、当たり前のように生まれてくる奇跡の瞬間を