詩人:杳子
凍てついた耳を塞ぐヘッドホン
小さく漏れる旋律は外界への抵抗
午前三時に目覚める朝は
白い吐息が教えてくれる
呼吸の法則
とめてしまえば安らかなりと
目を醒ますこともなかっただろう
午後三時に出かける昼は
たどる足音すすむ進む
展開の法則
手袋忘れて
ポッケのマッチの空箱をぐしゃり
午前零時に飛び立つ夜は
掻き消す月光静かに語る
此岸の法則
無駄だと知れば
がんばることもしなかっただろう
いらないと投げ捨てたヘッドホン
小さく漏れる旋律は街の喧騒
いらないと投げ出したMP3
名もなく奏でる旋律は私