詩人:右色
――けれども
同じ質量の絶望であれば
死ぬことだって出来ただろうに
少年は
その小さな背中に
巨大な希望を背負い
銀色へと降り立った
既に物語は選択された
もはや絶望し、立ち止まるどころか
中途で死ぬことすら許されない
さぁ
往くは戦場――
「他人に迷惑をかけない」
そんな空想は燃え盛る炎、灰の中
「傷つくのは自分だけでいい」
そんな幻想を語る者は
自らの物語にすら登場出来ない
自分は自分だけで完成しない
「ネガティブアイデンティティ」
――剣戟の音は
中空に木霊する
(幾多の感情がそうであるように)