詩人:千波 一也
わたしからこぼれるものはいくらでもあるけれどわたしはそれを覚えないまるで狭い空き缶さながらに空をあおいではたやすく空にうばわれてゆくわたしはいつも満たないけれどおそらくそれが乾きのめぐみ ほら、 水面のうまれる音がするわたしからはがれる願いは限られていて透きとおるさかなのうろこのように誰かがそれを身につけるそして、わたしたちは受けとめ合う互いにみえない互いの背中で風の行方を流れ合う