詩人:トケルネコ
小雨に暮れて 彼女は泣いた
歌うことしか知らない鴉たち
ハカナイなんて鏡越しのメッセージ
満たされない花瓶を映さないで
朝靄をついばむ濡れた眼差し
どこか誰かに似てるけど
その横顔を眺めてるだけ
誰かどこかへ連れていってと
ただ横顔を飾ってるだけ
もうムナシイなんてメッセージ
壊れた鏡を踏むことで伝えないで
歌を燃やすことでしか白くなれない鴉
束の間の解放 昼と夜の回転ドア
どこへ座ろう 廃屋の映画館
青い目を光らせて鴉たちが視つめるスクリーン
かすれた字幕だけが何かを伝えて・・・
その横顔は言葉を追う
その横顔は言葉を見上げる
その横顔は誰よりも美しい
その横顔は何よりも空白
その横顔はボク
その横顔はアナタ
その横顔は歌そのもの
その横顔は世界の片隅にあり
その横顔は世界の肖像画
砂と海の額縁